(パターンは下北沢INSIDE BOUNDさんより)
作業に入ってから2日目に神奈川でヨシキ君と話す機会があり、豊田市が「豊田」という地名に変わる前の町「挙母ころも」の挙母神社で行われる祭の日に着る鯉口シャツだということを知りました。
そのことを聞いただけでも背筋がぴっと伸びてしまったのだけれど、しばらくしてから2年目の
橋の下世界音楽祭の時に訪れたことのある神社と「神明」という町の名前を発見した日の記憶が少しづつ蘇り、自分の中の なにか と なにか がびびびっ!とパズルのように繋がった。
わたしの育った町にも古くから伝承されているお祭りがある。
祀りの神社は神明神社。
その祭りは大きな二体の蛇を萱を編んで担いで練り歩く。
町の地名は「村」が取れただけで今も変わらぬまま存在するけれど、この町のすぐ近くにはトヨタではなく埋め立てられた海の上の工業地帯に日産の大きな工場がある。
この祭事は決して他人ごとではないな。
と強くそう感じた。
豊田にはここ数年毎年足を運びつづけているけれど、自分にとってははじめから豊田は豊田であって今まで過去を深く掘り返すことはなかった。
だけど、その町に先祖代々住みつづけている人たちの思いは一体どんな気持なんだろう?
今を生きているヨシキ君たちは?
なんだかいろいろが浮かんでしまいひとり勝手に熱くなってしまった。
自分が育った町、生麦(歴史の教科書に出てくる生麦事件の町)は今も進行形で緑が奪われ、今まであった民家が立ち退きにあい、見慣れた景色が奪われながら日々新しい高速道路建設の為に痛々しい破壊が進んでいる。
だけれど、小さな神社のお祭りは絶えず昔と変わらずに継がれつづけてる。
場所が離れていようと、国が別れようと、わたしたちは大昔にこの陸の上で繋がっていたはず。だからやっぱり誰にとっても他人ごとではないよね。
そんな熱い思いを抱き、布の裁断をする前に初心にかえり自分用にパターンを引き、カーテン用の布を裁断してまずは自分用の一枚をサンプル用に縫った。
翌日、朝イチで数ヶ月前から移った横須賀の最寄りの神社に御参りをしました。
そして氣をあらたに清い気持で白い布にゆっくりと鋏を入れた。
和菓子をつくる時のように、一枚一枚の布と柄、パーツを丁寧に扱った。
最後のボタン付けは絹糸ではなく手紡ぎの国産麻糸を使ってしっかりと仕上げました。
挙母のころもは衣からきているそう。
長く着てもらえたら嬉しいな。
しばらく制作作業はお休みしていたから、こんなに真剣にものづくりと向き合ったのはとても久しぶりで数日眠る時間を忘れてしまう程集中した。
途中ミシンの不具合やイレギュラーもあって横浜と横須賀でそれぞれできる範囲の工程を上手くバランスを取ったりもして。納品の前日は時間と自分との戦いだったけれど、知恵と全力を振り絞りなんとか納期に間に合わせることができました。
背中に
二羽の鳥と花
素晴らしいデザイン。
この鳥は手描きで描かれた鳩なのだそう。
挙母のお祭りを自分の目で見てみたかったな。
自分用も一枚欲しいと思いました。
そんな熱い気持にさせられてしまう鯉口シャツを制作することができ、
とても貴重な時間を過ごさせていただきました。
縫製も今までの洋裁とは違って工程が宮大工のようで新鮮でした。
無駄なくシャープで強度を兼ね備えていてシンプルで。
またひとつ勉強させていただきました。
良ききっかけを与えてくれた愛樹君、パターンリースしてくださった下北沢
INSIDE BOUNDさん、NAMALi、素晴らしい布地を送ってくださった岐阜 吉田旗店様、
まだお会いしたことのないみなさまに心より感謝します。
お祭りの日の背中、いつか見てみたいです。
豊田は毎年出かける度に発見があります。
大きな河が流れていたり、プラネタリウムや古墳を見つけたり。。。
わたしの旅先での探検はこれからもつづくことでしょう。
※橋の下音楽祭=豊田の橋の下で開かれるこども〜大人まで自由に楽しめる粋で熱いお祭りです。
※タートルアイランド=毎回どこのライブへ行っても我を忘れて踊らされてしまうわたしの大好きなアーティスト亀島。
このブログを書きながら頭の中で何度もループしたので今夜はこの曲を。
田んぼと煙突 ボンクラ峠
こちらは横須賀坂本 六天神社の神輿
ここにも旧くから継がれつづけている
可愛らしい小鳥が飛んでいます。